超音波カッターとは?通常のフードスライサーとの違いと利点を解説
公開:2024.05.31 更新:2024.06.05超音波カッターは、従来の刃物を使う切断方法よりも精密な超音波切断が可能であり、食品産業や医療分野で幅広く使われています。食品加工時に有用な業務用機器であり、高周波振動によってこれまでの業務用フードスライサーよりきれいな切断面を得られる他、食材が刃に付着しにくく、切断時の切り屑も少ない特徴があります。
超音波カッターは発振器、振動子、ホーン(刃物)からなり、高い精度で迅速なカットを実現します。この技術の導入事例として、柔らかい素材を形を崩さずに切断できるケーキ店や、多様なカットが可能な調理食品製造業者が挙げられます。
目次
超音波カッターの持つ特徴と仕組みは?スライサーとの違い
超音波カッターは、従来の刃物を使用する切断方法と比べて、より精密な切断が可能です。そのため、食品産業や医療分野などで幅広く活用されています。
◇超音波カッターの特徴
超音波フードカッターは、食品加工の際に非常に有用な業務用機器です。このカッターは1秒間に20,000回もしくは40,000回の微細な振動を刃に与えながら食品を切断します。
この高周波振動によって刃と食材との接触面における摩擦抵抗が極めて小さくなり、刃がスムーズに食材に入り込むため、食材が形崩れすることなく、非常にきれいな切断面が実現できるのです。
また、超音波振動のおかげで食材が刃に付着しにくく、切断時の切り屑がほとんど出ないという特徴もあります。さらに、使用する刃は化学作用を起こさないチタン製であり、衛生面においても安心して使用できる点が大きな利点です。
これらの特性により、超音波フードカッターは食品加工において高い効率性と清潔さを提供します。
◇超音波カッターの仕組み
超音波カッターは、発振器、振動子、ホーン(刃物)という3つの主要な要素から構成されています。それぞれの要素には独自の役割があり、これらが連携して高効率で高精度なカットの実現が可能です。
まず、発振器は電力を超音波電力に変換し、振動子へ供給する役割を果たします。発振器は常に刃先が設定された振幅で動作するように調整を行うため、カットの切れ味を一定に保てるのです。この安定した超音波電力の供給が、次の段階での効率的な振動生成の基盤となります。
次に、振動子は発振器から供給された超音波電力を機械的な超音波振動に変換します。振動子によって、振動を効率よく生成し、ホーンへと伝達するのです。この段階での振動の変換と伝達は、ホーンが正確に振動するための準備を整えます。
最後に、ホーン(刃物)では、振動子から伝えられた超音波振動が刃先に伝わります。ホーンの刃先が高周波で振動し、被加工物との接触面で摩擦が大幅に減少させられるのです。この結果、軽い力で効率的にカットが可能となり、かつ非常に綺麗な断面が得られます。
振動する刃先が被加工物に対してスムーズに動くため、切断面の精度と美しさが確保できるのです。
◇フードカッターとスライサーの違い
フードカッターとフードスライサーは、いずれも食品加工において重要な役割を果たす装置ですが、それぞれ異なる用途と機能を持っています。
フードスライサーは、肉類、魚類、野菜などの固形食品を一定の厚さや形状に加工するための装置です。これにより、輪切り、おろし、丸千切り、短冊切りなど、さまざまなカットを実現できます。
また、連続的な大量処理が可能な電動モデルもあり、食品の一貫した形状やサイズの均一性を保つことが可能です。この均一性により、食材の見た目が整い、調理時の火の通りや味の浸透が向上します。
一方、フードカッターは特にミジン切りやダイスカットなどの細かい加工に適した装置です。この装置は通常のスライサーでは切りにくい食材、例えば油揚げやこんにゃくなども切れるうえに、簡単な操作でスライスの回数や方向を変えられます。
フードスライサー一貫性のある形状やサイズの加工に優れているのに対し、フードカッターはより細かいカットや特定の食材に適した加工に特化しているといえるでしょう。
人の手でケーキをカットするのは難しい?
ケーキを美しくカットすることは、人の手ではなかなか難しい作業です。特に、均等な厚さや形状でカットすることは、熟練を要する技術です。
◇人手でのカットは難しい
ロールケーキやカステラ、チーズなどの食品は非常に柔らかいため、人手による食品カット作業が難しいです。力加減が難しく、力を入れすぎると潰れてしまい、逆に弱すぎると切れません。この柔らかさが、綺麗な断面を保つことを困難にしています。
さらに、これらの食品は粘着性が高く、ナイフや包丁にくっつきやすい性質を持っています。そのため、切断面が汚れやすくなり、次のカットにも影響が出てしまうのです。それだけでなく、切断面が汚いと商品の見た目が悪くなり、結果として商品の価値が下がってしまいます。
また、これらの食品は表面が平らでなく、凸凹していることが多いです。そのため、均一にカットするのが難しくなります。不均一な断面は商品の一貫性を欠き、見た目の品質を低下させる要因です。
◇多品種小ロット生産がしにくい
人手によるカット作業は、多品種小ロット生産においても課題があります。多品種小ロット生産では、製品ごとに異なる形状や寸法に対応する必要があり、人手による作業では各製品に合わせた工程の調整に時間がかかりるため、生産効率が低下してしまうのです。
また、多品種小ロット生産に対応するためには、多くの労働力と時間が必要となり、人件費が増加します。さらに、製品に合わせた準備や調整作業が頻繁に発生するため、作業が非効率的になりがちです。
超音波カッターを導入する利点は?
超音波カッターは高い精度を持ち、生産性を向上させる効果があります。製品の一貫性と外観を維持しながら、効率的に生産を行うことが可能です。
◇品質の向上
超音波カッターは、食品を接触せずに切断することで、衛生的な環境を提供します。これにより、食品汚染のリスクを軽減し、安全性を向上させられるのです。また、切断プロセス中に微小な加熱を発生させることで、切断面を密封し、食品の外観を美しく保ちます。その結果、高品質な切断エッジが得られます。
超音波カッターは高い精度を持ち、従来のナイフ切断よりも優れた切断品質の提供が可能です。これにより、食品の形状やサイズに一貫性がもたらされ、統一された製品が得られます。さらに、柔軟性があり、ロボットアームや自動機器と組み合わせて使用できるため、食品を必要な形状に切断できるため、さらに品質の向上が可能です。
◇生産性の向上
超音波カッターの導入は生産性を向上させます。その主な理由は、超音波切断技術が非常に精密で迅速であることです。これにより、生産ライン上での作業が効率的に進行し、時間を節約できます。特に、食品業界では迅速で正確な切断が必要なため、超音波カッターの導入は生産性向上に大きく貢献するでしょう。
また、超音波カッターは切断品質と一貫性を向上させます。これにより、再作業や廃棄物が減少するため、生産性の向上が期待できるのです。また、少ないエネルギーで高速な作業を行うため、省エネルギー効果も期待できます。これにより、運用コストを削減し、生産性を向上させられるでしょう。
さらに、超音波切断技術は製品の変形やシフトを防止することが可能です。特に、食品業界では製品の形状や外観の維持が重要ですが、超音波カッターの使用により、製品の品質を保ちながら効率的に生産することができます。
超音波切断ができる超音波カッターの導入事例
超音波切断を導入した2つの事例をご紹介します。
◇柔らかいものも形を崩さず切断
あるケーキ販売店では、最新の卓上型超音波カッターを導入しました。この革新的な超音波カッターは、ケーキを美しく断面でき、柔らかい素材の形を損なうことなく、さらには冷凍ケーキのような硬い素材も簡単に切断できたのです。
コンパクトな外形寸法と超音波による洗浄機能があり、衛生面でも優れていると評価しています。
◇多種類のカットも1台で
ある調理食品製造業者は、毎日20種類ものケーキをカットしていました。導入された超音波カッターは、1台で多様なカットが可能なだけでなく、顧客のニーズに合わせて特別に仕様を調整されたのです。
顧客は超音波カッターを導入してから、従来では難しかったカットもきれいに行え、切れ味も抜群で、刃に付着する汚れも少ないことに感動しました。さらに、超音波カッターには事前にカット方法や位置を登録できる機能が備わっており、新しい品種の追加も容易です。
超音波カッターは、従来の刃物を使用する切断方法よりも精密な切断が可能であり、食品産業や医療分野で幅広く活用されています。超音波カッターは、食品加工の際に非常に有用な業務用機器であり、高周波振動によって食材が形崩れすることなく、非常にきれいな切断面を得られます。
また、超音波振動のおかげで食材が刃に付着しにくく、切断時の切り屑がほとんど出ないという特徴もあります。超音波カッターは、発振器、振動子、ホーン(刃物)という三つの要素から構成され、高い精度で迅速なカットを実現しています。
超音波カッターの導入事例として、ケーキ販売店では柔らかい素材も形を崩さず切断し、調理食品製造業者では多様なカットが可能であることが示されています。