業務用フードスライサーを導入で何が変わる?導入事例を紹介
公開:2024.04.17 更新:2024.05.16業務用フードスライサーは、飲食店や食品加工業者などで大量の食材を効率良く処理するために重宝されています。この機器は食材を均一にスライスすることで、調理結果の一貫性を保ち、火の通りの不均等や調理のばらつきを防ぎます。また、操作が簡単で、誰が使用しても同じ厚みや幅でスライスできるため、調理の品質が向上します。
大量の食材を短時間で処理できるため、調理時間の短縮にも貢献し、食品業界の生産性向上に大いに寄与しています。さらに、安全性にも配慮されており、使用時の事故リスクも低減されます。
目次
業務用フードスライサーが大量調理に向いている理由
飲食店や食品加工業者、商業施設などでは、日々大量の食材を処理しますが、これを手作業で行うと、膨大な手間と時間がかかってしまいます。そのような状況下において、有効なのが業務用フードスライサーです。
◇均一サイズカットできる
大量の食材を調理する場合、スライスする食材に均一性が求められます。これは見た目の問題だけでなく、食材の大きさが一様でないと、調理結果にばらつきが生じるためです。火の通りが不均等になり、食材の一部が焦げる、あるいは生焼けになるといった可能性が高まります。
◇調理時間を短縮できる
大量の食材を短時間でカットできる業務用フードスライサーは、調理時間も大幅に短縮します。調理時間の短縮は生産性の向上につながるため、人手不足に陥りやすい食品業界や飲食業界において有用です。また、誰が使用しても一定の幅や厚みを保てるため、調理の品質を確保できます。
カット野菜の需要に対応するフードスライサーの事例
フードスライサーは肉、魚、チーズなどさまざまな食材のカットに使われますが、なかでも野菜は作業量が多くなりがちです。カット野菜製造におけるフードスライサーの活用事例をご紹介します。
◇導入前の課題
あるスーパーマーケットでは、大量調理やカット野菜の提供に、小型のフードスライサーや手作業によるカットを行っていました。しかし、手作業によるカットは時間がかかり、場合によってはフードスライサーに比べて約8倍の時間がかかることもあり、効率的とは言えない状況です。また、このような手作業に頼ったカット作業では、品質の一貫性や生産性の向上が十分に確保されていませんでした。さらに、手作業では食材のカット幅が不均一になりがちな点や、個々の技量や経験に品質が左右される点も大きな問題です。
◇導入後の効果
フードスライサーは高速で均一に食材をカットできるため、従来の手作業に比べてはるかに短時間で大量のカット作業を行うことが可能となりました。これにより、従業員の作業負担が軽減され、作業効率が向上したのです。また、カットされる食材の品質も均一化され、提供される商品の品質向上にも寄与しました。
さらに、導入したフードスライサーは多様な食材をカットできたため、市場に出回る新しい野菜や食材にも対応が可能です。提供するカット野菜の種類を増加して顧客のニーズに応え続けていった結果、売上と顧客満足度の向上を実現しました。
共同で作り上げたスライサーで安全性を向上させた事例
◇導入の経緯
ある食品加工工場は、外部から仕入れていた角切りの鶏もも肉が仕入れられなくなったため、フードスライサーの導入を決めました。元々は他の工場がカットした肉を輸入していましたが、その工場がコロナの影響で操業できなくなったのです。そのため、食品加工工場は自社内でカットを行うために、フードスライサーのメーカーと最適なフードスライサーの共同開発に踏み切ります。
◇より安全に使用するための改善
フードスライサーを作る際に重要となるのは、正確なカットと思われますが、食品加工工場が重視したのは安全性でした。使う人がケガの危険なく、安全にフードスライサーを使うために、度重なる仕様変更を行って安全性を確保しました。
また、安全対策をメインに、追加でいくつか仕様の変更を実施します。例えば、刃物に対する安全カバーであるカッターカバーの前後を延長する形で、コンベア上にもカバーを取り付けました。この工夫によって、スライサー内部に手を入れてケガをするリスクを取り除いたのです。また、内部の様子が分かるように、カッターカバーの天板に窓を取り付けました。長時間の稼働時、引っかかった原料が内部に滞留し続けるリスクを減らすためです。
◇導入後の効果
共同で開発したフードスライサーを導入し、20ミリ角小さめの唐揚げ用の角切りを行いました。このサイズの加工は床に飛散しやすく、切り落としのロスが発生しやすいとされています。
導入したフードスライサーを稼働させると、歩留まり(原料の量に対する実際の生産量の割合)は97%に達しました。この数字は、原料をほとんどロスなく活用できたことを示しています。ロスの最小化は生産性の向上だけでなく、原材料の効率的な利用を意味し、経済的な観点からも重要です。商品ごとの加工や使用状況に応じた最適な歩留まりの確保が可能となり、効率性と品質の両面で優れた成果をもたらしました。
特注ミートスライサーで作業効率を大幅アップした事例
特注ミートスライサーを導入することで、大きな成果を上げた事例をみてみましょう。
◇導入の経緯
ある工場ではハムなどの食肉カットを行っていましたが、使っている使っている標準のコンベアは2.5mしかなく、自社の仕様に合った作業の遂行が難しい状況でした。従来のフードスライサーでは作業効率に限界を感じ、自社の仕様に合わせた特注のミートスライサーを導入することを決めます。
6mのコンベアをミートスライサーへ搭載し、作業スペースを広げることに成功しました。このミートスライサーに最適なレイアウトを実現し、無駄を省いた生産工程が確立され、作業効率が大幅に向上しました。
◇長いコンベアにする事で生じる課題
標準の倍以上となるコンベアには温度管理の課題も生じ、その課題を解決するための工夫も必要でした。商品をきれいにカットすることを考慮する場合、食材の温度管理が重要です。温度によってカットの品質に差が出るため、長いコンベアの使用によって生じる温度の変化を極力解消しなければなりませんでした。
また、生産工程の中で機械が絶対的に不可欠であるため、突然機械が故障した場合に備えて、迅速な修理や予備の機械の用意が必要です。故障時のダウンタイムを最小限に抑えるための計画が欠かせません。
◇課題の解決策
温度管理の課題については、特注したフードスライサーメーカーからスライス温度帯についてのアドバイスを受け、温度管理を徹底することで解決しました。機械の故障に関する課題についても同様に定期点検や予防策などを聞いており、今現在機械が突然故障して生産が停止するといったトラブルは起きていません。些細な故障なども、フードスライサーメーカーが迅速な対応を行っているため、問題無く稼働を継続できています。
業務用フードスライサーは、飲食店や食品加工施設での大量食材処理に不可欠な機器です。このツールは食材を速く、均一にスライスすることが可能で、それによって調理の一貫性が保たれ、火の通りが均等でないことによる調理のムラを防ぎます。均一なスライスは食材が焦げる、あるいは生焼けになるリスクを減少させ、料理の品質を一定に保ちます。
さらに、業務用フードスライサーは操作が直感的で誰もが簡単に同じサイズのカットが可能で、これにより属人化されがちな調理プロセスを標準化できます。大量の食材を素早く処理する能力は、特に人手が足りない繁忙期において、キッチンの効率を大幅に向上させます。
加えて、これらの機器は安全設計が施されており、事故のリスクを低減します。安全カバーや自動停止機能が組み込まれているため、調理スタッフが刃に直接触れることなく安全に作業を進められます。このように、業務用フードスライサーは時間の節約だけでなく、作業の安全性をも強化し、食品加工場やレストランにおける生産性と安全性の向上に寄与しています。