温故知新!ヤナギヤの業務用食品機械づくり
公開:2023.12.25 更新:2023.12.29山口県宇部市を拠点とする食品機械製造企業「ヤナギヤ」の歴史を振り返ります。1916年に始まった創業者柳屋元助の蒲鉾店経営から、業務用擂潰機の特許取得や機械化を経て、水産練り製品の世界的リーダーへと発展しました。
1972年からのカニ風味蒲鉾開発や、世界シェア7割のカニカマ製造装置など、革新的な技術で国際的な成功を収めました。ヤナギヤは「美味しく食べる文化」に基づき、豊富なラインナップの食品加工機械を提供しています。
また、オーダーメイド機械で様々なニーズに応え、100年企業として世界の食文化に貢献しています。
目次
ヤナギヤの歩み!昔ながらの自慢の製品
「ヤナギヤ」は山口県宇部市に本社を置く、食品機械製造をおこなう企業です。
ヤナギヤの原点
「ヤナギヤ」は、1916年10月に柳屋元助が16歳で父親の米蔵より家業の「柳屋蒲鉾店」を継いだのが始まりです。その後、新しい店舗を構え、宇部市で最も大きな蒲鉾屋に成長させました。
1941年12月には宇部市内の8社蒲鉾業者が合同で、「宇部かまぼこ合同組合」を設立し、元助は初代組合長に就きます。そして、1944年2月には蒲鉾店を「宇部水産煉製品工業株式会社」と改称し社長に就任しました。
その後、手仕事だった蒲鉾の原料作りを機械化して、1927年に蒲鉾製造用の撹拌擂潰機の特許出願し、1931年には専売特許を獲り、そして翌年の1932年6月には鉄工所を開業したのです。
蒲鉾の練り作業は作りの中でも最も重労働であったため、業務用擂潰機は瞬く間に全国の蒲鉾店へと広がります。
1957年に創業者の魂を受け継いだ2代目社長の柳屋幸雄は、魚肉セージの大量生産向けに大型擂潰機を開発しました。そして、宇部駅横に新社屋・工場を建設し、営業拠点も横浜・大阪営業所を開設し業務を拡大します。
その後、冷凍スリ身の開発後は「サイレントカッター」などの原料処理装置を開発し、現在に至ります。
世界中から愛されるカニ風味蒲鉾
長年の研究開発を経て、ヤナギヤは水産練り製品加工機械分野で世界トップシェアを誇ります。1972年から1974年にかけて、「きざみタイプ」と「スティックタイプ」の2種類のカニ風味蒲鉾が誕生しました。
こちらの「カニカマ」は水産ねり製品として新しいスタイルを提供するだけでなく、日本これにより、水産ねり製品の主原料である「すり身」の国際化が促進され、同時に水産資源の有効活用に貢献します。
「美味しく食べる文化」から生まれたカニ蒲鉾は、現在では世界的に愛されるヘルシーなシーフードとして成長し、異国の食文化を変えたのです。
100年企業ヤナギヤのこだわりの業務用食品加工機械
ヤナギヤのトップシェアを誇る「水産練り製品加工機械」は伝統的な加工技術を、ヤナギヤでは独自の新しい加工手法を提案し、伝統の味を最新の技術で未来へと継承しています。
そして、何十年も何百年も変わらなかった加工方法が、アイデアと技術によって味や作業効率が向上し、新たな進化を遂げていきます。
伝統食品から最新の加工技術までカバーする多様なラインナップ
カニカマ製造装置
小スペースで、スーパードラムスチーマーは内外からの均一な蒸気加熱により、安定した製品を生み出します。
15〜20秒の短時間で高温処理(85〜87℃)することで、製品がしなやかで、細断後の質感が向上し、加熱温度や滞留時間などの調整で幅広い製品バリエーションが可能で、短時間加熱処理による省エネと低コストを実現しました。
フードスライサー
キザミが1工程で済む「高速スライサー」や、キザミ・切断の両方ができて、切幅が20段階ある「高速裁断機」、棒状の連続切断が可能な「チャンクカッター」等のラインナップが豊富です。
「切断機」は回転式の刃を使用して定寸切断を行います。「W包装切断機」は2シートを同時に切断し、スペースを節約し、着色部には練り肉と液体の方式があります。
その他にも、豆腐を製造する豆腐製造機械には「ジュール加熱式絹豆腐製造装置」や豆乳搾り機 「ツインマイスター」、「豆乳プラン」があり、海苔を製造する機械には「海苔自動伸ばし火入機」や「連続式大型海苔火入乾燥装置」があります。
何にでも対応可能!オーダーメイド機械
ヤナギヤは、「焼き抜き蒲鉾」から「魚肉ソーセージ」まで多岐にわたる水産練製品の業務用設備をオーダーメイドで製作可能です。「機械では無理」だとされる課題に立ち向かい、お客様のニーズに応えるため常にイノベーションを続け、業界の発展に貢献しています。
そして、製造する機械は製品の「おいしさ」と「笑顔」を追求し、お客様の必要性を考えながら設計・製作しているのです。
世界で注目されるヤナギヤの技術力
日本生まれのカニカマは彩りが綺麗で、サラダなどのトッピングにもよく合うと人気です。
カニカマ製造装置で世界シェア7割
ヤナギヤはその需要に応えるため海外進出を果たしました。最初は日本のかまぼこ業者が海外で成功し、そのパートナーとしてヤナギヤも海外展開しましたが、お客様から「自社でもカニカマを作りたい」という要望を受け、共同で製造装置を開発することになりました。
韓国や米国から始まり、スペインやフランス、ロシア、タイなどへ展開し、1998年にはヨーロッパでの営業やメンテナンスを担当する拠点として、パリに事務所を設立します。そして、現在はカニカマ製造装置において7割のシェアを誇ります。
世界の食事情に合わせた製品開発
その後、カニカマの製造装置を基盤に、他の製造装置の開発も広げています。たとえば、スペインの「グーラ」という魚のすり身製品の製造装置を開発し、高騰するウナギの代替品として需要が高まっていたスペインの食文化に貢献しました。
そして、様々な国の食文化、宗教、地域性に合わせて、生産方法や原料の組み合わせを調整し、カニの爪や足の食感、そしてチーズやチョコレートなどのフレーバーを取り入れることで、製品の多様性を実現しました。
山口県宇部市に拠点を置く「ヤナギヤ」は、食品機械製造企業として、1916年に柳屋元助が父の「柳屋蒲鉾店」を継いで誕生しました。創業以来、手仕事から機械化への転換や新製品開発を経て、水産練り製品の分野でトップシェアを誇ります。1957年には2代目社長の柳屋幸雄が大型擂潰機の開発を手がけ、冷凍スリ身や「サイレントカッター」などの原料処理装置も生み出し、技術力の高さを証明しています。
ヤナギヤの代表的な製品であるカニカマ製造装置は世界シェアの7割を誇っています。ヨーロッパやアジアを中心に展開し、地域ごとの食文化に応じた製品開発も行い、多様性と革新を追求しています。山口発、世界に通用するヤナギヤの技術力は、食の未来に大きな影響を与えています。